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セーフティネット保証とは

中小企業信用保険法に基づくいずれかの事由に該当しているか経営安定関連保証(セーフティネット保証)が利用できる先は、中小企業信用保険法2条4項1号から8号の規定に基づき、以下のいずれかの事由が生じているために経営の安定に支障が生じていると認められる中小企業者である。

(1)6号<金融機関の破綻により資金繰りが悪化している中小企業者>破綻金融機関等と金融取引を行っており、適正かつ健全に事業を営んでいるにもかかわらず、金融取引に支障をきたしており、金融取引の正常化を図るため、破綻金融機関からの借入金の返済を含めた資金の調整が必要となっている中小企業者。

(2)7号<金融機関の合理化(支店の削減等)に伴う貸出抑制により影響を受けている中小企業者>経済産業大臣の指定を受けた金融機関が、支店の削減等による経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整を実施していることにより借入の減少等が生じているため、経営の安定に支障をきたしている中小企業者。

(3)8号<整理回収機構(RCC)又は産業再生機構へ貸付債権が譲渡された再生可能な中小企業者>金融機関が整理回収機構(RCC)又は産業再生機構へ貸出債権が譲渡されたことにより、当該金融機関その他の機関との金融取引について借入の減少等が生じているため、経営の安定に支障をきたしている中小企業者のうち、適切な事業計画を有すること等、その事業の再生が可能と認められる中小企業者。上記のいずれかに該当し、かつその事実を中小企業者の本店(個人事業主の場合は主たる事務所)を管轄する市区町村長から認定されることが要件となる。その際、市区町村長からT認定書」が発行されるので、保証申込みの際に原本を申込書類に添付して保証協会へ提出することになる。

(4)認定を受けた中小企業者は「特定中小企業者」となり、通常限度額と別枠化認定を受けた中小企業者は中小企業信用保険法上の「特定中小企業者」となり、一般保証と別枠で無担保保証8,000万円(無担保無保証人保証1.250万円を含む)、普通保証2億円の経営安定関連保証(セーフティネット保証)が受けられることどなる(認定とは別に金融上の審査がある)。

条件違反が結果として、求償権の保全強化になる場合でも免責となるか

信用保証協会保証付で融資を受けているA商店(借入人X氏名義)がこのたび法人成りしてA株式会社となり代表取締役には×氏が就任することとなった。金融機関は保証協会に条件変更の申込みをしたところA商店X氏の債務をA株式会社に免責的に引受させるものとする保証条件が付された。金融機関としては、債権保全のうえでは免責的債務引受契約よりも重畳的債務引受契約が保全面では強化されると判断し保証条件と異なる実行をした。この場合でも保証免責の適用を受けるか。

形式的には保証条件違反となるが、信用保証協会による求償権の回収に支障が生じていないのであれば保証免責とならない。

条件変更申請が必要
個人経営者が株式会社を組織して、自ら代表取締役におさまるという、いわゆる法人成りするケースはめずらしくない。そして、法人成りする場合、当該法人が個人経営時代の債務を引受ける方法に免責的債務引受契約と重畳的債務引受契約がある。前者の場合、個人の債務は免責されることとなる反面、通常は代表者を保証人として追加することとなるため、実質上免責とならない。また後者は、個人として引続き会社と連帯して債務を負担していくこととなる。この点から、前者と後者の相違は連帯保証か連帯債務かの違いで、実質的な相違はない。

上記の場合、免責的債務引受とする旨の保証条件が付されていたところ、金融機関が独自の判断で重畳的債務引受としたものであり、形式的には金融機関の故意または過失による保証条件違反となるが、求償権の回収に支障が生じていないのであれば保証免責とならない。しかしながら、信用保証書に記載された保証条件は保証契約の内容となっているのであり、金融機関はこれを遵守しなければならない義務を負っていることから、これと異なる対応をとろうとするときは、あらかじめ信用保証協会に連絡し、信用保証書の訂正処理をしてもらう等の対応をとらなければならない。

担保未徴求による一部免責の範囲はどうか

甲銀行は、信用保証協会保証付でA債務者に対して手形割引により1,000万円の与信をしていた。ただし、手形割引に際して信用保証協会よりA債務者がB社、C社、D社からそれぞれ裏書を受けている商業手形500万円、300万円、200万円、合計1.000万円の手形を担保とすることが保証条件となっていた。ところが、甲銀行はうっかりC社振出の300万円の手形を担保に徴することを失念したままA社は倒産した。

そこで甲銀行はB社、D社振出手形合計700万円について回収設置を講じたところB社振出の担保手形は500万円不渡りとなり、結局D社振出の200万円の手形のみが回収となった。そこで、甲銀行としては未回収分の800万円について代位弁済請求の手続を踏もうと思うが、このような場合、代位弁済は受けられるか。もし保証免責を受けるとするならば全部についてか。担保として徴求することができなかったC社振出の手形300万円に相当する額について免責となる。

実損分は保証免責となる
金融機関が保証条件に違反して信用保証協会保証付融資を実行し、この保証条件が履行できなかった場合は約定書例11条2号に該当し信用保証協会の保証債務はその全部または一部について免責される。保証契約違反には、約定書の規定に違反した場合と信用保証書に記載された内容と異なる信用供与を金融機関が行った場合(保証条件違反)があるが、保証条件違反について大別すると被保証債務の内容に関する事項(貸付金額、貸付形式、貸付期間等)の違反と、それとは別に信用供与に際し信用保証協会が特別に信用保証書の条件欄に付加した事項(特定の保証人、担保物の徴求)の違反がある。

上記は、まさに後者に属する場合の保証条件違反である。このような条件担保の未徴求については実損分について保証免責の適用を受けることとなる。C社振出の300万円の手形が未徴求として条件成就できなかったものであるから、この300万円について保証当初に遡り保証免責の適用を受けることとなる。したがって、信用保証協会の保証債務は1,000万円から300万円を差し引いた700万円について成立し、実質的には部分保証と同様の状態となる。その後の弁済については信用保証協会の保証付である700万円部分に優先充当されるものと解されているため、信用保証協会の保証債務はD社振出の手形による200万円の回収金を充当した残額の500万円となる。

自行融資返済後の担保解除と信用保証貸付

信用保証協会保証付融資1,000万円とプロパー手貸1,000万円があったが、手貸の期日が保証付融資より早く到来したので1,000万円を返済してもらった。同時に手貸1,000万円の不動産担保を解除した。その後急激に業況が悪化し倒産してしまった。保証免責となるか。

担保物が保証条件となっている場合に保証協会の同意を得ないで解除した場合、また、保証条件以外の担保であっても、債務者について延滞または事故報告書提出事由が生じているにもかかわらず保証協会の同意を得ないで解除したのであれば、実損部分について保証免責となる。

保証協会の同意なく解除すれば担保保存義務違反
民法は、保証人等債権者に代わって弁済をなす利益を有する法定代位者がある場合、債権者が故意に、または懈怠によって、その債権者が有している担保を喪失しまたは減少した場合は、喪失または減少したことによって回収ができなくなった分だけ法定代位者はその義務を免れることとなっている(民法504条)。

保証協会の保証も民法上の保証であるとされているから、この利益の保護を受けることはいうまでもない。ところで、金融機関は、この担保保存義務に関し連帯保証人との間で銀行取引約定書等により特約をもって排除しているのが通例である。他方、保証協会との関係では、担保保存義務免除特約を締結していないため、金融機関は保証協会に対して担保保存義務を負うこととなる。この点、金融機関の保証協会に対する担保保存義務は保証条件となっている担保物についてのみであって、保証条件外の担保物についてはこの義務を負うものではないと理解されている場合もあるが、これは間違いである。

保証条件担保の条件とは、保証協会が代位弁済に際して移転を受ける担保物を保証時に特定させ、かつ当該担保物の処分代金に対しては、保証協会の求償権をプロパー債権よりも優先確保することを目的としている。また、保証条件外担保とは、担保物の特定化や求償権の優先確保等を条件としないだけのことであり、担保保存義務の免除まで認めたものではない。保証条件外担保であっても、被担保債権の範囲を「銀行取引による一切の債権」としているのであれば、信用保証協会が担保条件を付することなく承諾したものについても、根抵当権の性質上当然に担保されることとなる。

上記の担保物が保証条件となっている場合には、信用保証書に記載された内容に反することとなるため、約定書例11条2号の保証契約違反として免責となる。保証条件外担保の場合は、債務者について延滞または事故報告書提出事由が生じている場合の解除は、保証協会と協議し、その同意を得ることが必要であるが、それ以外の場合は保証協会に協議することなく解除することができるよしたがって、前者の信用状態にあるとき保証協会の同意を得ないで解除した場合は、担保保存義務違反となり、故意・重過失による取立不能(約定書例11条3号)として保証免責となる。

保証人から保証否認されたとき

A社に対し信用保証協会保証をとりつけ、保証条件となっていたA社の代表取締役甲野氏および実質経営者乙野氏の連帯保証を受けたが、A社が倒産したので乙野氏へ請求したところ、乙野氏は保証人になった覚えはないと償還を拒否された。代弁請求はできるか。

金融機関が通常の手続lこよる保証意思確認を怠っていた場合には、約定書例11条2号の保証契約違反に該当し、免責となる。

保証否認は原則として保証免責となる
保証協会と金融機関は個々の保証に共通する事項・手続等保証取引に関する基本事項を契約内容とした「約定書」をあらかじめ締結し、個々の保証契約は「信用保証書」の交付によって成立させている(約定書例1条)。したがって、保証協会と金融機関との保証契約は基本的には、この約定書と個々の保証契約を成立させでいる信用保証書によって規律されることとなる。

上記は、甲野氏と乙野氏を連帯保証人とすることが保証協会の保証条件であったのであるから、このうち乙野氏が自己の保証債務を否認したのであれば、外形的には保証条件が履行されていないことから、保証契約違反に該当し原則として保証免責となる。なぜならば、前記のとおり信用保証書は保証契約であることから、信用保証書に記載された事項は保証契約の内容を構成しているため、保証人徴求条件についてもその一部となっているからである。

したがって、信用保証書の記載内容と異なる貸付は、保証契約に違反した貸付ということになる。信用保証書に記載される内容としては、貸付金額、貸付期間、返済方法、貸付形式等のように主債務の内容に関する事項と、貸付に際し特定の物件を担保にとることを、あるいは特定の人物を連帯保証人にたてることなどを保証契約の条件とする、いわゆる保証条件に関する事項に大別され、これらの事項が保証契約の内容を構成することとなる。これらの内容と異なる貸付をしたときは、原則として保証免責となる。

しかしながら、保証契約違反による保証免責は、金融機関の債務不履行による責任を問う趣旨により設けられたものであることから、その適用にあたっては金融機関の故意または過失が要件となる。したがって、保証人が保証債務の否認をした場合であっても、保証人徴求手続において金融機関として通常求められる保証意思確認をしていたのであれば、保証免責とならない。

追認保証制度の条件を満たすために虚偽の申請をしたとき

2年前に店周の新規開拓によって当座と融資の取引を開始した衣料品店で、最近当座取引において買戻しがしばしばあったり、これまでにない銘柄の手形が割引に持ち込まれ、しかも割引当日に全額引き出されている。同業者間の風評からも、まず融通手形を行っているとみて間違いない。そこで、例年の季節資金を信用保証協会保証付の追認保証で対応した。当地の協会の追認保証制度の条件には、「当座取引または貸付実績が1年以上あり、業態が十分に把握できる方」「返済振り、取引振り、決算内容、資産内容等総合的にみて良好で、償還能力があると判断できる方」とあり、確かに融手懸念はあるものの、表面上はすべての条件を満たしており何ら問題ないと考えてよいか。

表面上の条件充足はどうであれ、故意に虚偽の申請をしている場合には、保証免責となる。

虚偽の申請は絶対に不可
追認保証制度は、保証協会が地域中小企業者の実情を十分に把握している金融機関の調査を全面的に信頼して、タイムリーに資金を供給しようとするものであって、金融機関の虚偽の申請はあってはならない。金融機関は、信用保証協会の判断に誤りや漏れがないように、信用保証協会からの求めの有無にかかわらず、提供可能な資料の提供に誠実に応ずる義務があることは、信用保証制度の趣旨や信義則に照らして当然のことである。

ところが、当該金融機関が故意または過失によって信用保証協会の保証の供与の判断に有益な資料でかつ提供可能なものを提供せず、その結果信用保証協会の判断を誤らせるに至った場合は、当該金融機関は、上記義務に反し、ひいては信用保証協会との保証契約に反するものとして免責となる。上記では、融通手形の事実があることを隠匿して申請しており、金融機関は故意に上記義務に反しているということができることから、保証契約違反(約定書例11条2号)として保証免責となる。